「ねぇ、あんちゃん」
「ん?」
「バレンタインって毎年どんな感じ?」
 訊かれて少し考えた。
「それ、俺が、っていうんじゃないよな?」
「もちろん。あんちゃんがバレンタインをどう過ごしてるのなんてどうでもいいし。リィが、だよ」
「だよな」
 あまりにも想像どおりの答えに俺は笑う。
「翠葉なら、毎年お菓子を作ってくれるよ」
「マジっ!? 俺的注目はそこっ! 今年は司っちって本命がいるわけじゃん? どうかな? 家族枠でちゃんともらえるかな?」
 それは考えていなかった……というよりは、もらえるつもりでいたからとてつもない衝撃を食らったところ。