そんな過去を知っている俺からしてみたら、成長したと言ってやりたいくらいだ。なんだかとってもむかつくけどなっ!
「ねぇ……これ、中を開けても差出人がわからなかったら……」
 加藤さんの懸念を司が笑顔で牽制する。
「言葉を間違えてますよ? 差出人ではなく、落とし主、ですよね?」
 と。
 一番下の欄に同じく記号(〃)を記入したあと、欄外に「期日内に落とし主が見つからない場合、私、藤宮司は移行される所有権を放棄します」と書き込む。
 そう……こいつはこういう部分でも手抜かりないんだ。
 だいたいにして、絶対誰も遺失物届けなんて出さないっつーのっ!