ここまでくると女子たちもやり方を変えてくるわけで、正面から行って受け取ってもらえないなら、本人の見てないところで置いていく、という行動に出るようになる。
 まぁ、妥当な考えだと思うけど、そんな手法だって司には通用しない。
「先生、落し物です」と届けてしまうのだから。
 わかりにくいかもしれないけれど、悪気とかそいうのがあるわけじゃないんだ(たぶん)。
 司の中では受け取った覚えのないもの、もしくは見覚えのないものが机に置かれている。下駄箱に入っている、ロッカーに入っている――そのくらいにしか思っていない。
 男なら喜ぶところだろっ!? と当時の俺は思っていたけど(いや、今でも思ってるけどな)、司には通用しない。むしろ怒っていたりする。
 先生が、
「それはとある女の子が司くんに渡したかったものなのよ」
 と言って聞かせれば、
「実際には渡されなかったものをどうしろと? 直接渡しにきていたら受け取りませんでした」