さ、っと背筋に汗が伝った。
 これだ、湊先生が恐れていたのは――。
「唯兄だめっ、帰っちゃだめっっっ」
 帰らないで、ひとりにならないで。
 必死に唯兄に手を伸ばし腕を掴む。と、さっきと同じように力いっぱい振り払われた。
 ガツッ――。
 頭に衝撃が走り、私は気を失った。