オルゴールの重みはなくなったはずなのに、私の手はまだ自由にならない。
封も何もされていない手提げ袋は少しだけ開いていて、中に何が入っているのかは容易に見ることができる。
それを目にして驚愕した唯兄は、手提げ袋の口をぐしゃりと掴んだ。
どうしたらいいのかわからない、そんな表情で顔を背け壁を見る。
切れるんじゃないか、と思うほどの強さで唇を噛みしめていた。
「唯兄、血が……」
唯兄に手を伸ばしたそのとき、思い切り手を振り払われた。
「痛っ……」
加減をされていない力――男の人の力だった。
途端に身体が震え出す。
だめ――翠葉、しっかりして……。
今、わけがわからなくて混乱しているのは唯兄だ。
私がしっかりしなくちゃ……。
「どうしてこれをあんたが持ってるんだよっ」
怒声。そう言ってもおかしくない声だった。
「あの……お姉さんが――看護婦さんから……」
言いたいことをまとめることができなかった。
「あぁ……別にいい。理由なんて聞いたところで何が変わるでもないし。俺、帰るわ」
唯兄はそう言ってすぐに立ち上がった。
だめっ――。
封も何もされていない手提げ袋は少しだけ開いていて、中に何が入っているのかは容易に見ることができる。
それを目にして驚愕した唯兄は、手提げ袋の口をぐしゃりと掴んだ。
どうしたらいいのかわからない、そんな表情で顔を背け壁を見る。
切れるんじゃないか、と思うほどの強さで唇を噛みしめていた。
「唯兄、血が……」
唯兄に手を伸ばしたそのとき、思い切り手を振り払われた。
「痛っ……」
加減をされていない力――男の人の力だった。
途端に身体が震え出す。
だめ――翠葉、しっかりして……。
今、わけがわからなくて混乱しているのは唯兄だ。
私がしっかりしなくちゃ……。
「どうしてこれをあんたが持ってるんだよっ」
怒声。そう言ってもおかしくない声だった。
「あの……お姉さんが――看護婦さんから……」
言いたいことをまとめることができなかった。
「あぁ……別にいい。理由なんて聞いたところで何が変わるでもないし。俺、帰るわ」
唯兄はそう言ってすぐに立ち上がった。
だめっ――。


