ところは図書棟の一角にある従兄の仕事部屋。
 今、この部屋には俺と従兄の秋兄、秋兄の後輩である御園生さんがいる。
 今日が二月十四日ということもあり、話題はチョコレートのことだった。
「うわ……秋斗先輩、相変わらずすごい数ですね」
 御園生さんが見ていたものは、ダイニングテーブルの脇に置いてあるダンボール。
 その中には今日もらったであろうチョコレートの数々が無造作に入れてあった。
「学生の頃に比べたら減ったんじゃないかな?」
 秋兄はそれらを見下ろしながら言う。
「あぁ……確かに」
 御園生さんは納得したようだ。
 俺はここで「バイト」という名の雑用をしているわけだけど、俺の背後でふたりの会話はまだまだ続く。
 加わりたい内容ではないことから、俺はふたりに背を向け作業を進めることにした。