「色は弟に選ばせたんだけど、奇抜な色を選ばれなくて良かったよ」
 どうしてそんな心配をしなくちゃいけないのかはわからないけれど、楓先生が心底ほっとしているのはわかる。
 先生の弟さんはそんなに変わった人なのかな? 水島さんはクールと言っているけれど――。
 でも、こんなに柔らかな色を選ぶ人はとても優しい人だと思います。
「それ、窓辺に置いたらキレイなんじゃないかな? ビー玉の数を減らして水を入れてもいいよね?」
 先生の弟さんから頭を切り替え、提案されたことを想像していると、「痛っ」という楓先生の声が聞こえた。
 視線をそちらへ戻すと、どうやら水島さんが楓先生の脇腹を突いたみたい。
「その情報源、うちのナースでしょー?」
「当たりデス」
 ふたりの会話の意味がわからなくて首を傾げてしまう。