「だから、もし……だよ。もし唯兄の手に戻ってきたらどうする?」
訊いた途端、くっつけていた背中が離された。
ふいに部屋の空気が変わる。
「リィ、限度がある。見つかりもしないものを見つかったら、なんて言葉で話せないだろ」
低い声が背中に響いた。司先輩の声とも違う。とてもドスのきいた声だった。
恐る恐る振り返ると、ものすごく怖い顔をした唯兄がいた。
一瞬目をぎゅっと瞑って息を吸い込む。
目を開け、枕元においた手提げ袋に手を伸ばした。
それを一度胸もとに抱えてから、
「唯兄……それでも、"もしも"は存在するかもしれないでしょう?」
「……リィ、いい加減にしろ」
本気で怒っている声だった。
覚悟を決めるときだった。
体育座りを解き、唯兄に向き直って正座する。
唯兄は鬼のような形相をしていた。
「これ……何とも知らずに私が三年間持っていました」
そう言って手提げ袋を差し出す。
「まさか――」
それは声にはならず、唇だけがその形を模る。
震えた手が手提げ袋に伸びてきて、しっかりとそれを掴んだときに自分の手を放した。
訊いた途端、くっつけていた背中が離された。
ふいに部屋の空気が変わる。
「リィ、限度がある。見つかりもしないものを見つかったら、なんて言葉で話せないだろ」
低い声が背中に響いた。司先輩の声とも違う。とてもドスのきいた声だった。
恐る恐る振り返ると、ものすごく怖い顔をした唯兄がいた。
一瞬目をぎゅっと瞑って息を吸い込む。
目を開け、枕元においた手提げ袋に手を伸ばした。
それを一度胸もとに抱えてから、
「唯兄……それでも、"もしも"は存在するかもしれないでしょう?」
「……リィ、いい加減にしろ」
本気で怒っている声だった。
覚悟を決めるときだった。
体育座りを解き、唯兄に向き直って正座する。
唯兄は鬼のような形相をしていた。
「これ……何とも知らずに私が三年間持っていました」
そう言って手提げ袋を差し出す。
「まさか――」
それは声にはならず、唇だけがその形を模る。
震えた手が手提げ袋に伸びてきて、しっかりとそれを掴んだときに自分の手を放した。


