蒼兄の誕生日が五月三十日、私の誕生日が六月一日。プレゼントをもらうのは誕生日当日だけど、ケーキはいつも間をとって三十一日に食べていた。
今年は私が入院してるから……だから、今日ここでお祝いすることになった。
ホールのタルトを見たときの高揚感はすでにない。ロウソクを見てかわいいと思った気持ちすら薄らぎ始める。
何もかもが空気のように心を通り過ぎ、色褪せていく。
心の浮き浮き沈みが激しい自分に自分がついていけなくなりそう……。
「じゃ、火点けるぞ」
その言葉にかろうじて理性だけが反応した。
「お父さん、火はだめな気がする」
ここはまかり間違っても病室で、「火気」は厳禁だと思うの。
「翠葉はこういうとこ本当にしっかりしてるよなぁ? どうよ碧(みどり)さん」
「そうね……こういうところは絶対に私譲りだと思うのよね」
今年は私が入院してるから……だから、今日ここでお祝いすることになった。
ホールのタルトを見たときの高揚感はすでにない。ロウソクを見てかわいいと思った気持ちすら薄らぎ始める。
何もかもが空気のように心を通り過ぎ、色褪せていく。
心の浮き浮き沈みが激しい自分に自分がついていけなくなりそう……。
「じゃ、火点けるぞ」
その言葉にかろうじて理性だけが反応した。
「お父さん、火はだめな気がする」
ここはまかり間違っても病室で、「火気」は厳禁だと思うの。
「翠葉はこういうとこ本当にしっかりしてるよなぁ? どうよ碧(みどり)さん」
「そうね……こういうところは絶対に私譲りだと思うのよね」


