目が覚めて、目に映るものがいつも同じ。個室という空間、窓から見える景色。
それらに飽きてしまった私は、身体が許す限り写真集ばかりを見ていた。写真集の中にはたくさんの色が溢れていたから。鮮やかすぎる色が溢れていたから……。
空の写真集は季節によって空の色や雲の形が違うことを教えてくれる。毎日が違う空模様であることを教えてくれる。それなのに――私は窓の外に目をやっても、もう何を感じることもできなくなっていた。
いつ見ても「同じ空」にしか見えなくなっていた。そして、唯一の救いとも言える写真集ですら、「四角」という枠の中にあることに気づいてしまった。
そんなとき、
「中庭の見える部屋に移る?」
ひとりの看護師さんが訊いてくれた。それが水島さん。時期は五月に入ってからだったと思う。
それらに飽きてしまった私は、身体が許す限り写真集ばかりを見ていた。写真集の中にはたくさんの色が溢れていたから。鮮やかすぎる色が溢れていたから……。
空の写真集は季節によって空の色や雲の形が違うことを教えてくれる。毎日が違う空模様であることを教えてくれる。それなのに――私は窓の外に目をやっても、もう何を感じることもできなくなっていた。
いつ見ても「同じ空」にしか見えなくなっていた。そして、唯一の救いとも言える写真集ですら、「四角」という枠の中にあることに気づいてしまった。
そんなとき、
「中庭の見える部屋に移る?」
ひとりの看護師さんが訊いてくれた。それが水島さん。時期は五月に入ってからだったと思う。


