光のもとでⅠ

 少し前までは中庭側ではなく、病院の裏手にあるグラウンドが見える病室にいた。
 グラウンドには芝生などは敷かれておらず、一面は白っぽいグレーにしか見えない。きっと、学校のグラウンドにありがちな、砂と細かな砂利が混ざったようなグラウンドなのだろう。申し訳なさ程度に緑が植樹されているけれど、グラウンドの周りをぐるりと舗装されたコンクリートのほうが目立つ景色だった。
 グラウンドの向こうには藤川が流れ、河川沿いにはサイクリングロードがある。涼しい時間帯には犬を連れた人がちらほらとお散歩してるのが見えた。
 その人たちは時折立ち止まっては挨拶を交わし、愛犬の道草に気長に付き合う。こんな光景は家の近くの公園でもよく見かける。
 グラウンドや川の上には果てしなく広がる青空。雲ひとつないきれいなブルーのはずなのに、どうしてか曇って見える。