光のもとでⅠ

「ちょっと大丈夫? 頭働いてる? 今日は翠葉ちゃんの十六歳の誕生日だから、ご両親も蒼樹くんも絶対来るわよねって話よ?」
 顔を覗き込まれ、反射的に身を引く。
「はいっ……二時くらいに来てくれるって言ってました」
「……何か浮かない顔してるわねぇ。お兄ちゃん大好きでしょ?」
「はい……」
 蒼兄は好き。お父さんもお母さんも大好き。それに、誕生日が嫌いなわけでもない。でも、ここは病院だから――。
 病院で誕生日を迎えるのは初めてのことだけど、なんかやだな……と数日前から思っていた。
「ま、病院で誕生日っていうのは嫌か……」
 水島さんはギシリと音を立ててベッドに座った。
「よぉし、あとで私からもプレゼントをあげよう!」
「えっ!? そんな、申し訳ないからいいですっ」