光のもとでⅠ

 性欲がないわけじゃない。ただ気づいたんだ。どうでもいい相手とする行為じゃないって。
 高校の性教育を受けて、それはわかっているつもりだった。それでも、その考えに従えないこともあった。
 そんなある日、ふと手に取った本がきっかけで気持ちに踏ん切りがついた。
 どんな本かというと、自分の妹が本気で好きになった人に遊ばれてしまうというもの。
 明るかった妹は自殺行為を繰り返すほどに精神を病んでしまい、最後には自ら命を絶ってしまうという内容の本だった。
 なんとも後味の悪い本だった。
 でも、考えさせられることは多分にあった。
 一度として遊び半分で付き合ってきたつもりはない。でも、相手を本気で好きだったか、と問われるとそれは何か違う気がした。
 俺の中での一番は常に翠葉であって、それ以上に想える相手はただのひとりもいなかった。
 だから決めたんだ。