光のもとでⅠ

「それってさ、蒼樹があの子に全然関心がなかったってことじゃないの?」
 呆れた顔で言われた。
「そうかもしれませんね。でも、俺のことを本当に好きな子なら、俺も彼女のことを好きになる可能性はあるかもしれない、とは思ってましたよ?」
 にこりと笑って返すと、
「っていうか、そもそも複数の彼女を作るような非道なことはしないってさ、彼女に対するあてつけもあったんだろうけど、それ、単に蒼樹が面倒だからでしょ?」
「……そうですね。バイトは秋斗先輩のところで間に合ってますし、課題をこなしながら資格を取ろうとすると、勉強時間の確保は必須ですから。彼女に費やす時間があるなら勉学に勤しみます」
「それって健全な成年男子としてどうなの?」
「俺、意外と淡白なんですかね? 少し前まではそれなりの付き合いもしてきましたけど……。今はそんなに性欲に溺れることもないです。っていうか……自分がきちんと好きと思える相手以外に興味がいかないだけかもしれませんけど」