翠葉は意識を取り戻すと周りの物々しさに驚いて泣きだした。
「蒼兄っ、おうちに帰りたいっ。入院なんて嫌っ」
 ボロボロと涙を零し、必死な様子で懇願される。
 そうして感情が昂ぶると脈が乱れ、モニターのアラートがけたたましく鳴り出す。
 誰が何を言っても聞き入れず、その状態が少し続くと事切れたように失神してしまう。
 そんなことが連日、何度も何度も繰り返された。
 翠葉……俺も一緒にがんばるから、今は治療に専念しよう。毎日来るから……。
 俺にはそんなことしかできないけれど、これからはずっと側にいるから、だからがんばろう――。