いつも、「蒼兄蒼兄」って天使みたいな笑顔で俺の名前を呼んでくれて、勉強や部活がつらくても、翠葉と話しているとすごく楽になれた。毒気を抜いてくれる存在だったんだ。
 それをなくすくらいなら――俺はもう翠葉から離れない。一生、絶対に手を放さない。
「翠葉のところに行ってもいいですか?」
「あぁ、かまないよ。ご両親を案内してあげなさい」