「脈圧ってなんですか……?」
「血圧の上と下の差のことを脈圧という。通常は三十から五十あるのが好ましい。だが、翠葉ちゃんはそれを割ってしまっている。要はね、心臓が送り出す血液量がとても少ないということ。体内の血液循環量が少ないんだ。その状態で血圧が下がると、脳や心臓に十分な酸素が行き渡らなくなり、やっぱり心不全を起こしてしまう。だから、翠葉ちゃんは息があがるような運動ができない」
そんなっ……。少し体が弱いだけだと思ってた。なのに、実際は――。
「蒼樹、大丈夫か?」
父さんがうかがうように声をかけてくれた。
「……俺が大丈夫とか大丈夫じゃないとか、そういうの違う。つらいのは翠葉だから……。俺がつらいなんて言えない」
言えるわけがなかった。
「君は優しいお兄さんだね」
髭をいじりながら先生に言われる。
でも、優しいとか――そういうのでもない。
「血圧の上と下の差のことを脈圧という。通常は三十から五十あるのが好ましい。だが、翠葉ちゃんはそれを割ってしまっている。要はね、心臓が送り出す血液量がとても少ないということ。体内の血液循環量が少ないんだ。その状態で血圧が下がると、脳や心臓に十分な酸素が行き渡らなくなり、やっぱり心不全を起こしてしまう。だから、翠葉ちゃんは息があがるような運動ができない」
そんなっ……。少し体が弱いだけだと思ってた。なのに、実際は――。
「蒼樹、大丈夫か?」
父さんがうかがうように声をかけてくれた。
「……俺が大丈夫とか大丈夫じゃないとか、そういうの違う。つらいのは翠葉だから……。俺がつらいなんて言えない」
言えるわけがなかった。
「君は優しいお兄さんだね」
髭をいじりながら先生に言われる。
でも、優しいとか――そういうのでもない。


