光のもとでⅠ

「不整脈が出てるんだ。妹さんを信じて待とう」
 ゴツゴツとした大きな手に震えた手をぎゅっと握りしめられる。
 どのくらいそうしてもらっていたのかわからない。
 処置室のドアが開き、中から髭を生やしたひとりの医師が出てきた。
 その顔つきは険しいものだった。
「紫、あの子のお兄さんだ。まだ両親は到着されていない」
「蒼樹くん、だったね?」
「はい、妹はっ!?」
「……おいで、会わせよう」
 処置室の中に入ると、酸素マスクに点滴、身体にはたくさんのコードがつながれていた。そのコードの先にはモニターや機械がいくつも置かれている。
「翠葉っ!?」
「まだ安心できる状態じゃない。でも、翠葉ちゃんはすごくがんばったんだよ。手を握ってあげなさい」