身体に抵抗を感じた次の瞬間、パンッ――。
 頭を殴られたのかと思うくらいの衝撃が頬に走った。
 目の前に険しい顔をした湊さんが立っていた。
 あぁ……あの大きな手で叩かれたのだろう。
 前方から肩を押さえていたのが司くんで、後ろから腰に腕を回して引き止めていたのが秋斗先輩だった。
「何があったっ!?」
 秋斗先輩は、「吐け」と言わんばかりに訊いてくる。
「妹が……意識不明で運ばれた――」
 どうして心不全と言わなかったのかわからない。ただ、受け入れたくなかっただけなのかもしれない。
「搬送先は?」
 湊さんに訊かれ、
「藤宮病院」
 秋斗先輩は俺から手を放すとすぐに立ち上がり、ジャケットと車のキーを手にした。