光のもとでⅠ

「話って?」
 話を切り出したものの、翠は下を向いたまま黙り込んでしまう。
 話があると言ったのは翠なのに。
 寒くて口がうまく動かないこともある。それかと思いマンションに帰ってから、と言おうと口を開けば、
「っ……好きっ」
 なんの前触れもなく突然二文字の言葉が胸に刺さった。心臓が止まるかと思った。
「突然でごめんなさい。でも……ごめんなさい、すごく好きなの。好きっていう言葉以外にどんな言葉で伝えたらいいのかわからないの。すごく好きで……すごく好きで……」
「……なんで翠はいつも唐突なんだ。多少の行動予測くらいさせろよ……」
 呼吸を再開させ、思わず文句が口をつく。でも、このくらいの文句は言ってもいいと思う。
「……そんなこと言われても」
 翠は困ったように下を向いてしまう。
 ここで黙られたら俺も困るんだけど……。