光のもとでⅠ

 俺が会いにいくのではなく、翠から会いに来てほしい。
 空港まで秋兄に会いに来たように……。それは高望みだろうか。
 俺と翠の携帯はつながっている。だから、会わなくても答えはもらえるだろう。
 でも、そこは敢えて携帯を使わず、会いにきてほしいと思う。
 だから、翠が登校してくる日を知ってはいたが、会いに行くのはやめた。教室の窓から、登校してくるのをじっと見ていた。

 そうして二日が経った。
 昨日は翠に会うことなく部活をやってから帰宅。
 もちろん携帯が鳴ることもメールが届くこともない。
 携帯を使われたくないと思っている割に、携帯ばかりを気にする自分に嫌気が差した。
 こんなことを続けていたらずっと会わないままなのかもしれない。
 そうは思っても、やっぱり翠から会いに来てほしいという願望を諦めることはできずにいた。