本来ならこんな行動に出るべきではないのだろう。
わかっていつつも、彼女に腕を伸ばさずにはいられなかった。
今、このときだけでいいから――君を抱きしめたい。君が抱えている想いごと、抱きしめたい。
「全部知ってるよ。四月から、ずっと見てきたんだ。君が司に恋をして、それが面白くなくて俺が横取りした。でも、君はちゃんと俺を見てくれた。君からの好意はきちんと感じられた。俺が焦りすぎて、君を急かしすぎて、色々うまくいかなくなっちゃったけど――あのとき、確かに俺は翠葉ちゃんから『好き』って気持ちをもらっていたよ」
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
嗚咽まじりの彼女の声が、振動として胸に伝わる。
「謝らないで。君は十分悩んだし苦しんだ。もう楽になっていいよ。もう、これ以上は苦しまないでほしい」
わかっていつつも、彼女に腕を伸ばさずにはいられなかった。
今、このときだけでいいから――君を抱きしめたい。君が抱えている想いごと、抱きしめたい。
「全部知ってるよ。四月から、ずっと見てきたんだ。君が司に恋をして、それが面白くなくて俺が横取りした。でも、君はちゃんと俺を見てくれた。君からの好意はきちんと感じられた。俺が焦りすぎて、君を急かしすぎて、色々うまくいかなくなっちゃったけど――あのとき、確かに俺は翠葉ちゃんから『好き』って気持ちをもらっていたよ」
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
嗚咽まじりの彼女の声が、振動として胸に伝わる。
「謝らないで。君は十分悩んだし苦しんだ。もう楽になっていいよ。もう、これ以上は苦しまないでほしい」


