ホテルにチェックインした直後に携帯が鳴り出した。
 発信相手を確認してからディスプレイを司に向ける。
「……湊ちゃんからなんだけど、これについて司は何か知ってたりする?」
 司はディスプレイを見るなり、なんの断りもなく電源を落とした。
「出たら面倒なことになると思う。無視して」
「了解……」
 すると司の携帯が鳴りだした。きっと湊ちゃんからなのだろう。司は一目見てすぐに電源を落とした。

 翌朝、朝食は空港のVIPルームで済まし、コーヒーを飲みながら搭乗時刻を待っていた。
 でも、本当に待っているのは搭乗時刻なのか、彼女なのか……。