「ずいぶんはっきり答えやがんな? 御曹司どもにはそんなはっきり言わなかったやつがよ」
「……これから、はっきり言いに行くの。だから、先生、予行演習させてね。私――ツカサが好き。だから、だめ」
 あぁ、やっぱきれいだ。笑った顔が――。
 年甲斐もなく宝を見つけた気分になった。
「いい顔してんな」
 言った直後、ガシャンッ――。
 姫さんのいる方で穏やかじゃない音がした。
 ……何やったんだ?
 様子を見に行くと、姫さんのものと思われる携帯が無残な姿で床に転がっていた。