冷てぇ手……。
「おまえも苦労してんな」
 藤宮にかかわって心臓の手術までして、それでもなおつながりを遮らんと踏ん張る。未だ病床にいるくせに。
「どうでしょう……。私は色んなことに不器用で、先生に言われたことも満足にできない」
「たとえば?」
「がんばりどころを間違えるなって言ってくれたでしょう? でも、私、ものの見事に間違えてました。色んなことに――。悔やんでも前には進めないから、それなら改めて前に進まなくちゃいけないって、やっとわかったところなんです」
「……ふん、珍しく頭回ってんじゃねぇか」
「潤滑油さしてくれる友達がいたから」
 苦しいはずなのに、やけにきれいに笑いやがった。つられて自分の表情筋が動く。