一方、スイハはどこか驚いた顔をしていた。
「あの御曹司、医療機器の会社立ち上げてな、俺の伝手で海外の医療メーカー紹介してやったんだ」
 それは本当のこと。
「だが、スイハの外出許可を俺が出すわけにはいかない。今は臨時で紫先生が診てくれてるとはいえ、お前のメインドクターは姫さんだろ? それに……この脈――」
 ディスプレイをスイハの方に向ける。
「俺が見てもあまりいいものでないことはわかる。姫さんがこっちに向かってるくらいの状態だ。お前、何平然とした顔装ってやがる。本当は胸が苦しいんじゃないのか?」
「っ……」
「病室に戻れ」
「先生っ」
 言ってすぐ、痛みが走ったのか顔をしかめた。