スイハに勉強を教えに来ていた坊主がナースセンターに顔を出した。
「終わったのか?」
「はい……」
 坊主はなんとも言えない顔をしていた。やるせない顔というのはこういう顔のことを言うんだろう。
「涼先生から話は聞いてる。おら、帰った帰った。お前はまだやることあんだろ?」
 言うと、頭を深く下げてナースセンターを出ていった。
 ことの経緯は聞いていた。
 坊主が帰ったあと、バイタルの監視をしてほしいという通達どおり、きちんとパソコンにはバイタルを表示させている。
 ただ、俺ができるのは監視くらいだがな……。
 緊急事態に陥れば、救急に待機している紫先生に連絡をとるまでのこと――。