しっかし――そっか……。相談役はもう俺だけのポジションじゃないんだな。
 寂しさは感じる。でも、翠葉の世界や人間関係が確実に広がっていっている証でもあって――。
 複雑だけど、きっとこれが本来あるべき姿……。
「軽くショック……」
 隣の唯がカックリとうな垂れた。
「唯……それは軽くって域を超えてる形状……」
 指摘しつつ、
「でも、気持ちはわかるよ。俺だって翠葉が俺じゃなくて唯に相談もちかけたときはショックだったし。俺よりも先に唯に連絡したこととか相当ショックだったし」
 畳み掛けるようにいじめてみると、
「ああああ……そうか、こういう気持ちだったんだ?」
 唯は優越感を感じた直後に奈落の底に落とされた人間になっていた。