祈るような……という形容がぴったり。まるで、ドラマか何かを見ているよう。
 緊張はディスプレイを通してひしひしと伝わってくる。
 俳優ってすごいんだな、と思った。これはリアルだから緊張を感じるのであって、フィクションだとわかっていても見ている人間に緊張を感じさせる人たちってすごいんだなって……。
 俺は緊張している人間を前に、全く別のことを考えていた。
『出て、もらえない……』
 絞り出すような声が耳に届く。
「もう九時だけど……仕事かな?」
『仕事かもしれない。けど、この番号、仕事用の携帯なの……』
「じゃ、持ってさえいれば着信には気づくよな……。少し待ってみよう。折り返し電話があるかもしれないし」
 御園生は思いつめた顔で何かを呟いた。