光のもとでⅠ

 自分の気持ちに自信がもてなかったんだ。さらには御園生のことだから、心変わりすることにも戸惑っているのだろう。でも、今これをつついたらもっと悩ませる気がするからそこはスルー。
『ありがとう……。私、自分の気持ちに自信が持てなくて、自分の心が掴めなくて……』
「……いいんじゃん? 時間かけてでもわかろうとしてるだけ」
 自分の心を見てみぬ振りして何事もないように過ごしてる人間だっている。それと比べたら、ひたむきに自分と向き合ってる御園生は微笑ましい気すらする。たまに、ちょっと見てられないほど痛々しいけど……。
 考えるっていうことや向き合うっていうことを目の前でとことん見せつけられると、いつかどこかで、自分が逃げてしまいそうなときの枷になるかもしれない。――枷、よりも動力、かな。逃げないための、立ち向かうための保険的動力。