『佐野くん……このまま、このままで秋斗さんに電話してもいい? ひとりだとどうしてもボタンが押せないの』
 きっと携帯か、番号が書かれたメモでも見ていたのだろう。
 もう、なんでもいいよ。最後まで付き合うから。
 俺は漏れる笑みを隠さず、「いいよ」と答えた。
「でも、なんか新鮮」
『え?』
「こういうの、普通は女同士だったり男同士ですることじゃん?」
『……そうなの?』
「うん、たいていはね。でも……そっか。やっぱ俺の考え間違ってなかった」
『どういう、こと?』
「御園生って、男女関係なく友達作ってるでしょ?」
『え? ……友達に男女って関係するの?』
「くっ……俺バカだー。こういうやつって知ってたのにな。知ってたから話してもらえるって自信があって、でも話してもらえなかったから悔しくって……。終業式の日、きついこと言ってごめん。あれ、本心だけど八つ当たりでもあったと思う」