「秋斗先生も藤宮先輩も、御園生にとって大切な人たちならさ、やり直すんじゃなくて次の関係を築けばいい。御園生が一歩を踏み出すのは新しい関係を築くためだ」
『築く……?』
 頭いいくせに、「築くってなんですか?」みたいな返事。
「そう。再構築じゃ同じ轍踏みそうだろ? だから、同じものを作るんじゃなくて、一歩踏み出して新しく築く。俺はそのための後押しならいくらでもするよ」
『それは……どうしたらいいの? ……私の好きな人を伝えればいいの?』
 うーわっ……。
 正直少し驚いた。
 御園生、ここまで頭回ってないんだ……。
 でも、今はなんでもいっか……。何を訊かれても、俺に答えられることは答えていこう。
「つまるところはそうなるかな? そしたら、秋斗先生は間違いなく一区切りつくと思う」
 今なら御園生を洗脳できるかもしれない、とかバカげた思いが心を掠めるくらいに、御園生は俺の言うことを鵜呑みにしていたと思う。
 御園生の視線がディスプレイから外れた。視線を落としたのかと思ったけど、何かを見ているようだった。