御園生がどれだけふたりのことを大切に思っているのかが伝わってくる。
 自分がどれほど苦しくても選べないくらい大切なんだ。
 好きの種類は違えど、ふたりは御園生にとって「大切な人」として一括りにされている。
 だけど、ふたりはそれ以上を求めているんだなって思うと、ほんの少し御園生よりの気持ちを感じて切なくなる。
「御園生、こっち見て」
 俺を見て……。御園生の気持ちと向き合うから。
 目にいっぱい涙を溜めては零す御園生が、しっかりとディスプレイを見た。
「御園生、もといた場所に戻ろうとしないで前に進みなよ。時計は左には回らないじゃん……。それと同じで、人は前にしか進めないようになってるんだ」
『前に進んだら、今までの関係は取り戻せるの……?』
 御園生が必死にふたりをつなぎとめようとしているのがうかがえる。