「いけないわけじゃない。ひとりで答えを出す場合がほとんどだと思う。でも、御園生はふたりにきちんと提示したの? ……ただ、手放したくないからどちらも選ばないって決めただけじゃないの? それに、御園生の気持ちは? どちらも選ばないって決めて、実際の心はどうなの?」
 御園生が藤宮先輩と秋斗先生にいかなる答え伝えたのかは聞いていなかった。俺が見る分には、ふたりから逃げているような気さえしていた。
 それに、好きって気持ちがそんな簡単に割り切れるものなのか、ちょっと俺にはわからない。だから訊きたかった。
 御園生はものすごく困った顔で答えた。
『……それにもとても困っていたの。会えば会うほどツカサを好きになっちゃうし、一緒にいたいと思っちゃうし、話していたいって思っちゃう』
 なんだ、と思う。返事を聞くの、かまえていたけど肩から力が抜けた。