パーティーが始まって二時間ほどしたころ、スタッフがそれまでとは違う動きをした。そして、それは父さんのところにもやってきた。
 父さんは話を聞くと、視線のみで俺を呼びつける。
 何かあったのかと足を運ぶと、
「一番に電話だ。少し席を外すから真白さんを頼む」
「……わかった」
 一番に電話、それはじーさんが重積発作を起こしたことを意味するコードネーム。
 母さんの表情がかげる。
「母さん、ここには紫さんもいるから大丈夫だ」
「そうね……」
 力なく笑う。そして、しばらくすると貧血を起こした。
 心配からか血が下がったのだろう。
 俺はスタッフに声をかけ、隣の控え室で母さんを休ませることにした。