こんなことが起こると、誰が予想しただろう――。
 パーティーが始まって二時間ほどしたころ、よほどのことがない限りは鳴ることのない携帯が鳴った。
 会場の隅で通話に応じると、じーさんが倒れたことと、翠葉ちゃんが走ってこちらに向かっていると告げられた。
 すでに医師陣には通達してあり、残るは翠葉ちゃんのピックアップのみ。その翠葉ちゃんの様子もおかしいと言われ、慌てて彼女がいる非常階段へと向かった。
「秋斗様、こちらです」
 会場を出てすぐのところで御崎さんに会い、彼女のもとへ誘導される。と、非常口のドアがいくらか開いており、その隙間を埋めるように警備の人間が立っていた。
 周りにはさして人はおらず、招待客の目に触れていないことにほっとしたのは束の間――。