「確かにチビっ子だった頃の秋斗くんを俺たちは見てはいる。でも、とくだん紹介されたわけでも話をしたわけでもないさ。俺と碧は静の客として招かれていたわけだし」
「でも、相手は小さくても秋斗くん。面識がなくても静の友人として私たちの名前や素性は知っていたみたいね」
 父さんと母さんの声が右から入り左へ抜け、左から入り右へと抜けていく。
「けれど、間違いなく翠葉のバイタル装置の件で高校を訪れたときが初対面よ」
「……食えない……どっちも食えない。知らないの俺と翠葉だけじゃん」
「……まぁ、そうなるな?」
「なるわね?」
 あと気になることはもうひとつある。
「翠葉に何かあったら……ていう条件――」
「うん、それが何?」
 どこか楽しそうに訊く母さんに視線を返す。