「司、退席を許可した覚えはない」
 言わずとしれた静さんの声。
「それは静さんの一存? それとも……」
「お姫様のご要望だ」
 振り返ると、翠は静さんに向かって頭を下げており、俯いたままこちらに背を向けていた。
 俺は同じ歩調で翠の背後まで引き返し、
「選んだのは翠だから。俺に困るとか言わないように」
「……はい」
 縮みあがったような声で返事されてどうする……。
 そうは思うものの、結果に満足している自分がいるのだから救えない。
 こんなやり方しかないものか――。
 空を仰ぎ見ると、俺のことを嘲笑うかのように、幾多の星が瞬いていた。