むくりと起き上がると、零樹さんたちは服装を改めていた。
「もうそんな時間?」
「あと三十分くらいだな」
「唯も支度しなさい」
 碧さんの言葉に周りを見回すも、リィの姿が見当たらない。
「リィは?」
「疲れたみたい。晩餐会には出ないでゲストルームで食べるって寝ちゃったわ」
「そっか……。だから碧さんもここで食べるの?」
 装いが零樹さんと釣り合わない。そう思って尋ねると、
「さすがにひとりでご飯を食べさせるようなことはしたくないもの」
 うむ、なるほどね。なら……。
「じゃ、その役俺が引き受けるんで行ってきてください」
「え? でも……」
「なんです? 俺ひとりじゃ不安?」
「そんなこと言ってないでしょう?」
「なんだったら俺も残るよ?」