「湊、共に歩き、三十歳までの年月を思い出そう。そして、静くんと新たな人生を歩みなさい」
「……はい」
 決して、「幸せになりなさい」とは言わないあたりがお父様らしい。
 大丈夫。私は今までも幸せだったしこれからだって幸せよ。
 だって、幸せは自分で掴むもの、でしょう?
 涼やかなお父様の顔を盗み見て、私とお父様は同時に一歩を踏み出した。