「……よね?」
「え?」
「翠葉ちゃんは蒼くんと本当に仲がいいわよね、って言ったの」
「あ、はい。でも、どうして苦笑いなんですか?」
「ううん」
 栞さんは緩く首を左右に振る。
「ただ、羨ましいなと思っただけよ」
 そう言っては控え目に笑った。
 ……どうしてだろう?
「栞さんも静さんと仲良しでしょう?」
「うちは十五歳年が離れているし、血は半分しかつながってないから妙な遠慮があるのも事実よ」
 それにはなんて答えたらいいのかわからなかった。
「むしろ、翠葉ちゃんのほうが近しい気がするわ。私に妹がいたらこんな感じかしら? でも、翠葉ちゃんだったら娘でも大歓迎!」
 急に声が明るくなりテンションが上がる。
「……栞さん、大丈夫ですか?」
「……ごめんねっ。今、生理前で気持ちの起伏が激しいみたい」
 そう言って笑ってはケーキを口に運んだ。