「周りは身内ばかりなのに、どこを見ても翠葉ちゃんの肩しか持たないような人間勢ぞろいときてる。さすがにひとりくらいは味方がほしくてさ」
 秋兄はわざとらしく肩を竦めて見せた。
「ま、わからなくはない。それに……翠は俺たちがいがみ合ってるの、あまり好きじゃないみたいだし」
「本当にね。そんなことで胃に負担かけるんじゃかわいそうだし」
 食後、三十分から一時間は食休みが必要だろう。それでも時刻は九時前。まだ寝るには早い時間だ。
 冬休み入ってからは幸倉に帰っていると聞いた。ならば、家族団欒の時間を考慮しなくてもいいだろう。
 俺が手を上げるとレストランマネージャーがやってきた。
「三十分後、中庭でお茶会を開きたいので用意をお願いします」
「かしこまりました」
「人数は五人」
 秋兄が補足すると、レストランマネージャーは下がり、すぐスタッフに指示を出し始めた。