晩餐会のあと、一度ゲストルームに戻ったものの、俺と秋兄はレストランへ引き返してきていた。
 大人連中は二階のバーラウンジに移動し、海斗と兄さんは部屋でカードゲームをしている。
「話って?」
「もちろん、翠葉ちゃんのこと」
 ま、そんなことだろうとは思っていた。
「前に藤山で話しただろ? ……共同戦線」
 秋兄は何か企んでいそうな目を向けてくる。
「何するつもり?」
「とりあえずはお茶会に誘おうかと思って」
 そこ、と電飾ををまとったツリーを指差した。
「ふーん……いいんじゃない?」
 現状、俺も秋兄も翠には避けられている。ならば、こちらから行くしかない。
 そういう意味ではお茶会はもっとも手ごろな理由だった。