「優しく接することだけを優しさとは言いませんわ。それに……あの子はそういう優しさとは別の優しさを求めているんだと思います。だから、兄ではなく先生……なのではないでしょうか」
 容姿からは想像できない芯の強さを感じた。
 あぁ……スイハの芯の強さは母親譲りか。
 そんなことを思いながら、病室から出てきたスイハを迎え、似たり寄ったりのシルエットふたつを見送る。

 スイハ、話なら聞いてやる。けどな、そこからどう立ち上がるかは自分しだいだ。
 おまえ、母親譲りの芯の強さを持ってんだろ? ……なら、着地点さえわかれば真っ直ぐそこに向っていけるさ。
 今は自分と向き合い、周りを良く見て――探せ。