「……次は二十三日にパレスで昇の治療。二十八日月曜日が年内最後の治療になる」
 それだけを言うと、スイハを残して病室を出た。

 廊下にはスイハの母親、碧が立っていた。
「いつもありがとうございます」
 丁寧に腰を折られる。
「いえ、自分は自分にできることしかしていませんので」
「十分すぎるくらいです。翠葉は……私たちにはあんなふうに悩みを打ち明けてはくれませんから」
「そうですか……」
 一応、自分でどうにかしようとあがいてはいるんだな。
「自分でよければ話は聞きますが……。何分、こんな性格なものですから、お宅のご子息ほど優しく接することはできません」
 スイハと良く似た面立ちの女はクスリと笑う。