こういうやり方、俺にはできないな。
 新鮮な思いで見ていると、涙に滲む目に真っ赤な太陽が映って見えた。
「見えた? 朝陽だよ」
 俺も視線を前へ移す。と、オレンジをより濃くしたような太陽が、朝もやの中で一際存在を主張している。
 ゆっくりと上昇する太陽を見ていると、
「リィ、ごめん……。なんか最近のリィは危なっかしすぎて見てらんなかったんだ。でも、それでこんなふうに訊くんじゃもっと困らせちゃうよね」
「そんなこと――」
 ふたりのやり取りを微笑ましい思いで見守る。
「家族の前でくらい、もっと肩の力抜いていいんじゃない?」
 不意に、唯に場所を譲られた。即ち、翠葉の背後。