制服からルームウェアに着替えると携帯が鳴った。
 携帯を手に取るとメールが届いていた。


件名 :急ぎの仕事入った
本文 :夕飯には間に合わせるから
   栞さんにも伝えてもらえる?
   夕飯のあとに昔話をしよう。


 メールは唯兄からだった。
 メールを読んで少しほっとしている自分に気づく。
 部屋を出て栞さんに伝えると、栞さんの表情も和らいだ。
 持って帰ってきたお弁当箱をキッチンへ持っていくと、
「全部食べられたのね、良かった」
 と、栞さんが笑った。
 それはまるで、子どもを思う母のような表情で、栞さんとの年齢を考えると、妹を気遣う姉かな、と思いなおした。