こちらを見ている唯に視線を戻した。
「でも、唯がいるから結構気楽だよ」
「は?」
「俺がフォローしなくても、唯が気づけば唯がフォローするだろ?」
「まぁ、それはそうだけど……。でも、気づきポイントって異なるじゃん?」
「それはそれ……。ただ、フォローが必要な場面で俺が動けなかったら、間違いなく唯がフォローしてくれるだろ? そういう意味では頼りにしてる」
 自然と自分の表情が緩むのがわかった。あぁ、今、俺はひとりじゃないんだ……。
「いーですよ、いーですよ。俺にできるのそのくらいだし」
 どうしてかやけっぱちな反応をされた。
「それは違うだろ? 唯だからできることで、唯だから頼めるんだ。唯じゃなきゃだめなんだよ」
 唯の表情がピタリとフリーズし、思いついたかのように「風呂入ってくる」と部屋を出て行った。