俺は慌てて声をかける。
「桃華、冬休みの予定はっ?」
『このあとは暮れの挨拶周りです。年始は年始で新年の挨拶周り……。本当にうんざりするほど……』
 その声の調子からどれほど嫌なのかが伝わってくる。
「そっか……年内どこかで会えないかと思ってたんだけどその調子じゃ無理そうかな」
『っ……ちょっと待ってくださいっ』
 バサバサっと音がして、
『三十日……三十日なら午後に少し時間が取れると思います』
「三十日、か……。わかった。じゃ、当日連絡入れる」
『はい……。会えるの、楽しみにしています』
「俺も。クリスマスは会えないけどプレゼント用意してるから」
『……嬉しい』
「じゃ、三十日にね」
 言って電話を切った。