「そっか……。そんなことがあったんだ。それは落ち込んでるだろうな……」
『すみません……』
「いや、桃華たちが悪いわけじゃないよ。むしろ、そうまでして翠葉を待ってくれたことがありがたいくらい」
『でも、結果的には八つ当たりじみたことしちゃいましたし……』
 翠葉も落ち込んでいるだろう。けれど、これは桃華も佐野くんも相当落ち込んでいるに違いない。
『翠葉に伝えてほしいことがあるんです』
「了解。承るよ」
『……私たちは友達だから、たまにきついことを言うかもしれない。でも、それで友達をやめるとか離れるとか、そういうことは考えてない。佐野も同じ。私も佐野も、どうでもいい人間が相手なら何も言わずに離れてる』
 桃華は俺に話すときとは違う口調で言葉を発した。